鉄の薔薇姫
したたか酔ってレンカが駐屯地の居室に戻ると、ドアの隙間に紙切れが挟まっている。
そこには紛れもない彼女の字でメモが。


戻ったら部屋へ


まずい。
このメモが差し込まれたのはいつだろう。
レンカは足早に隊長室を目指す。
ドアをノックし、囁くように名乗った。


「レンカ・トラジェンです」


やや間があり、
「入れ」
という短い返事が聞こえてきた。

そっとドアを開けるとベッドの上で生成の夜着姿のシアがいる。
眠っていたのかもしれない。

レンカの姿を見ると、ベッドから降り近付いてきた。


「申し訳ありません。遅くなりました」


「酒を飲んでいたのか?」


呼吸から酒の臭気を感じ取ったのだろう。
シアが言う。


「はっ。申し訳ありません」


「いや、むしろ呼びつけて悪かった」


そう言うとシアはレンカから離れ、棚の瓶を持ってくる。


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