鉄の薔薇姫
「レンカ、おまえもすぐだ。近衛からお呼びがかかる」
「いえ、俺は」
近衛隊になど行く気はなかった。
叶うならいつまででも彼女の傍らにいたい。
レンカの気持ちをよそに、シアは話を進める。
「来月には出兵だ。シナシに動きがあるらしい。おまえにとっては初陣だな。良い働きを期待している」
「はっ」
そう言われてしまえば、レンカには他に返す言葉がない。
短く承知を告げると、シアがレンカの手から空いたグラスを取り上げた。
「さあ、もう戻れ。明日は陣形練習と格闘訓練だ。今日の倍はきついぞ」
「隊長」
レンカは立ち上がらずに右手をベッドに沈ませた。
シアの黒曜石に似た瞳を覗き込む。
ここからは、対等に振舞ってもいい時間だ。
彼女の許してくれるわずかな分だけ。
「いえ、俺は」
近衛隊になど行く気はなかった。
叶うならいつまででも彼女の傍らにいたい。
レンカの気持ちをよそに、シアは話を進める。
「来月には出兵だ。シナシに動きがあるらしい。おまえにとっては初陣だな。良い働きを期待している」
「はっ」
そう言われてしまえば、レンカには他に返す言葉がない。
短く承知を告げると、シアがレンカの手から空いたグラスを取り上げた。
「さあ、もう戻れ。明日は陣形練習と格闘訓練だ。今日の倍はきついぞ」
「隊長」
レンカは立ち上がらずに右手をベッドに沈ませた。
シアの黒曜石に似た瞳を覗き込む。
ここからは、対等に振舞ってもいい時間だ。
彼女の許してくれるわずかな分だけ。