鉄の薔薇姫
「そうこなくっちゃな」
シアが珍しくはしゃいだ声だ。
そんな年相応の姿を部下たちは微笑ましく見守っている。
300名を統べるとはいえ、彼女はまだ21歳。
兵士たちの多くが彼女より年上なのだ。
心中穏やかでないのはレンカである。
「ではお相手つかまつろう」
リルアムがわざとらしく居住まいを正し、すらりと刃を抜いた。
二人の立ち合いは見事なものだった。
どちらも一歩も譲らぬ攻防。
いや、シアが苦戦しているようにも見えた。
しかし、さすがは鉄の薔薇姫。
リルアムの剣を上方に跳ね上げ、一瞬の隙を作ると、両手剣を片手支持に変え突き込んだ。
するとリルアムの手から剣が消えた。
自ら離したのだと周囲が気付く頃には、リルアムの両手がシアの胴体に巻き付き、子どもにするように抱え上げていた。
「おい!馬鹿!反則だぞ」
「敵がルールを重んじてくれるなら考えてやろう」
シアの言葉を真似てリルアムが言った。
抱え上げられたシアはジタバタ暴れるが、なかなかその腕から抜け出せない。
鉄の薔薇姫が苦心している姿が愉快で、部下たちはみな声を上げて笑った。
レンカひとりをのぞいて。
シアが珍しくはしゃいだ声だ。
そんな年相応の姿を部下たちは微笑ましく見守っている。
300名を統べるとはいえ、彼女はまだ21歳。
兵士たちの多くが彼女より年上なのだ。
心中穏やかでないのはレンカである。
「ではお相手つかまつろう」
リルアムがわざとらしく居住まいを正し、すらりと刃を抜いた。
二人の立ち合いは見事なものだった。
どちらも一歩も譲らぬ攻防。
いや、シアが苦戦しているようにも見えた。
しかし、さすがは鉄の薔薇姫。
リルアムの剣を上方に跳ね上げ、一瞬の隙を作ると、両手剣を片手支持に変え突き込んだ。
するとリルアムの手から剣が消えた。
自ら離したのだと周囲が気付く頃には、リルアムの両手がシアの胴体に巻き付き、子どもにするように抱え上げていた。
「おい!馬鹿!反則だぞ」
「敵がルールを重んじてくれるなら考えてやろう」
シアの言葉を真似てリルアムが言った。
抱え上げられたシアはジタバタ暴れるが、なかなかその腕から抜け出せない。
鉄の薔薇姫が苦心している姿が愉快で、部下たちはみな声を上げて笑った。
レンカひとりをのぞいて。