鉄の薔薇姫
「その程度で私を抱きたいなどと、よく言えたものだな」


シアは常と変わらず冷淡な口調だ。

彼女はスルトを貶めたいのではない。
しかし、スルトには非情な言葉に聞こえただろう。
顔だけ上げて、悔しそうに呟く声が聞こえる。


「所詮、あんたは女だ……」


「その女に勝てんのは誰だ。上官に劣情を抱くのは自由だが、その前に励むものがあるだろう」


シアは言い捨て、動けないスルトを放置し、こちらへやってくる。

そこにレンカの姿を見つけ、あ、という顔をしたが、声にはせず武器庫を出て行った。


レンカはシアに追従しそっとその場を離れた。
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