鉄の薔薇姫
「え……、では、なぜ遊撃隊より海兵志願者を募るのですか?」


「シナシ側艦隊には猛将チタンがいる。最初は陽動でも、いざ戦端が開かれたとき、ベトルード殿下では太刀打ちできない。ひとりでも多く、状況判断に優れた有能な兵士が必要だ。
レンカ、おまえにとっては良い話だ。実戦経験のないおまえが選ばれた意味を考えてみろ。上層部はおまえを見込んでいる」


レンカは黙って聞いていた。
見込まれていると聞いて悪い気がする者がいるだろうか。
ある意味、近衛に呼ばれるより期待度が高い。


しかし、シアを守る立ち位置を放棄してまで、期待も地位も必要だろうか。

レンカにはいらない。
知らず俯いたレンカの辞意がわかったのだろう、その肩をリルアムが叩いた。


「気持ちは変わる。いつでもいいから、その気になったら来てくれ」

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