鉄の薔薇姫
「隊長……!」


割って入ったのはシアだった。
脇腹を貫かれた敵兵が絶命し落馬する。

しかし、場所が悪かった。
シアの馬が踏み込んだのは道の側端。
足もとが崩れる。


「隊長っ!」


シアは声もなく、馬とともに転落して行った。

レンカは叫び、崖に駆け寄り見下ろす。
岩肌の断崖ではない。
藪の繁る急斜面だ。


「行くな!レンカ!」


仲間たちが叫んだ。
レンカは躊躇わず、シアを追って馬とともに崖を駆け降りていった。


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