鉄の薔薇姫
表情の乏しいシアにしては最大級の変化であった。
その頬が見る間に赤く染まるのがレンカの目にもわかった。


「馬鹿か、おまえ。話が飛躍してるぞ」


「お・俺は本気です」


シアが動揺して目をそらす。
レンカも同じく赤面していた。


「俺は商家の三男です。跡継ぎどうこうなんて言われない。あとはあなたが無碍に断れない程度の力を手に入れてきます。それが嫌でしたら、俺が戻るまでにリルアム統括とどうにかなっていてください」


シアはまだ赤い頬のまま、呆れたようにため息をつき、肩を貸せとレンカに合図した。

レンカは彼女を抱え、馬に乗せた。

ゆっくりならこれで移動出来そうだ。
リリ川の合流までそう遠くはないだろう。
そこまで行けば、遊撃隊の野営地は目と鼻の先だ。


「なんだか大人になってしまったな」



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