月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「お前は平気なのか?」
「オレ? 別に、特に何も感じない。そもそも、オレは瑞季と違って伴侶がいるからな」
「ああ、そうだったな」
こんな聖呀だが、三年前くらいに小柄で華奢なエミリとか言う名前の伴侶を得た。
毎度、顔を合わせるたびにこんな小さな体で、体格の大きな聖呀の欲望を受け止めきれるのかと、狼呀は不思議でならない。
とはいえ、そんな事を本人には聞けないし、毎夜といっていいほど聞こえてくる声と、翌朝の満足そうな顔を見れば聞くだけ野暮というものだ。
「気を付けてやれよ。あんたに惚れてる女と、伴侶を持たない男たちは、何をするか分からないからな」
珍しくよく喋る聖呀は、驚く狼呀に構わずトレーにケーキとコーヒー二つを乗せると、顎で行けと示した。