月の絆~最初で最後の運命のあなた~




 あたしにとって家族は愛するのが普通で、あらためて考える必要のないもの。


 昔、友人が家族を嫌いだと言ったのを聞いた時にも、共感する事は難しかった。


 まあ、そのせいか今では疎遠になっている。


 でも、今なら少しわかる。


「ええ、好きよ。ただし、父と母に関してはね。でも、祖母と兄は好きじゃない」


「どうして?」


「それって、あなたに関係ある?」


 その問いかけに、怒りが瞬時に身体中を駆け巡り、あたしは狼呀を睨み付けた。


 少し前までの楽しい気分は、どこかに消えていく。


 変わりに嫌いな祖母と兄の事を考えだしたら、左腕がむずむずしてきた。


 苛立ちを覚えた時の感覚が、危険なほど高まってくる。


 これは、かなりヤバい。








 
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