月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「その話は……これ以上したくない」
最後の一口を乱暴に口に運び、あたしは苛立ちも露に言った。
詳しい家庭内の事情を話せるほど、彼との距離は縮まっていない。
「もういい?」
「そうだな。ちょうど食べ終わった事だし、残りの質問は車の中にしよう」
あっさりと引いた狼呀は、伝票を手に立ち上がった。
あたしもつられて立ち上がる。
今回は、支払いの事で文句を言う気はない。
誘ったのは彼なのだから。