月の絆~最初で最後の運命のあなた~
個室を出てレジに行くと、入った時と同じ様にパソコンをしている聖呀がいた。
「会計を頼む」
「なんだ……もう帰るのか? あそこは防音になってんだ。ホテル代の節約になるぞ」
そんな会話が聞こえてきて、あたしはぎょっとした。
たしかに、外の音が聞こえてこなかった気がする。
それに窓がないから外からも見えない。
あの個室が、そのためのものだなんて考えもしなかった。
狼呀の事を無意識に信じすぎていたのかもしれない。次の言葉次第では、一人でさっさと店を出る気だ。
その時がきたらすぐに動けるように、あたしは扉の近くで待つことにした。