月の絆~最初で最後の運命のあなた~
それとも、すでに終わったのだろうかと錯覚する。
彼女だって、死がそれほど安らかなものではないと思っている。
それに、いまだに頬に風を感じた。
何かがおかしい。
体が浮いているような感覚に不安を覚え、ゆっくりと目を開けて――彼女は思わず絶句した。
眼下の景色は、何一つ変わっていなかった。
変わっている事があるとすれば、自分自身が座った姿勢ではない事だ。
さっきまで感じなかった恐怖心が、じわじわと体の中を這い上がってくる。
「一体、君は何をしているのかな?」
頭の上から聞こえた呆れた声に導かれて、彼女は咄嗟に見上げた。