月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「だから……伴侶の仕組みは好きだって言ったの」
「人間にとっては、重くないか?」
「別に。もともと、あたしは軽い関係とかデキちゃった婚とか、浮気とか大嫌いだからそうは感じない」
思わず狼呀の口元がゆるんだ。
「それなら良かった」
「まあ、あんまり期待しない方がいいかもよ? だからって、いい返事が返ってくるとは限らないんだから」
そんな風に、伴侶同士の会話のようなやり取りをしていると、時間は驚くほどの速さで過ぎていった。
絆から伝わる思いも温かく、狼呀は満ち足りた気持ちでいた。
このまま、幸せな時間が続くんだと思って――。
しかし、運命とはそんなに優しいものじゃなかった。