月の絆~最初で最後の運命のあなた~
第五章 決断


[1]


 幸せ。


 狼呀が人間ではないと知った瞬間、不信感と好意を認めたくない気持ちは粉々に砕け散ってしまった。


 答えを先伸ばしにしたけど、本当はすぐに答えられた。言葉に出来なかったのは、臆病な心がブレーキをかけさせたから。

 
 出会った時の考えが嘘みたいに、今すぐ狼呀の部屋に行ってもいいとさえ思っている。


 あのたくましくて、熱い腕に包み込まれて、荒々しい時間を何時間も過ごしてもいいとさえ――。


 でも、そんな考えは家が見えてきた瞬間に、泡となって消えた。




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