月の絆~最初で最後の運命のあなた~




「何が嘘なの?」


「帰ってほしいと思ってないだろ? マリアの心は絆に……俺に寄り添おうとしてるぞ」


「な、何を言って……」


「伴侶に嘘はつけない」


 琥珀色の瞳は、あたしの心を見透かすどころか、嘘は許さないと言っているようだった。


「つかなくちゃいけない嘘も、許されないの? お願いだから、今日は帰って……必ず話すから」


 懇願にも似た気持ちで言うと、狼呀は苦しそうな顔をして、あたしに背を向けた。



< 217 / 356 >

この作品をシェア

pagetop