月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「何が嘘なの?」
「帰ってほしいと思ってないだろ? マリアの心は絆に……俺に寄り添おうとしてるぞ」
「な、何を言って……」
「伴侶に嘘はつけない」
琥珀色の瞳は、あたしの心を見透かすどころか、嘘は許さないと言っているようだった。
「つかなくちゃいけない嘘も、許されないの? お願いだから、今日は帰って……必ず話すから」
懇願にも似た気持ちで言うと、狼呀は苦しそうな顔をして、あたしに背を向けた。