月の絆~最初で最後の運命のあなた~




 扉を閉めから、すぐに服の袖を捲って左腕に爪を立てる。


 力を込めて皮がめくれても続けると、血が滲みはじめてズキズキとした痛みが広がった。


 おかげで苛立ちと怒りが、少しずつ消えていく。


 あたしの左腕には、そうやってつけた傷がいくつもあって、治った傷が痕として濃く点々と散っている。


 こうでしか、あたしはストレスを発散できない。


 怒りでカッとすると、頭の中が残虐なイメージで溢れて、いつか本気でそのイメージを現実にしてしまいそうで怖かった。


 血と痛み。


 イメージの中でのあたしは、それに快感を覚えていた。






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