月の絆~最初で最後の運命のあなた~
第二章 背徳


[1]


 不愉快なくらい何度も鳴る電話の着信音のせいで、あたしは起きたくもないのに叩き起こされた。


「うるっさいなー」


 電話に出る前に、目覚まし時計に目を向けて、表示されている時刻に目を疑った。


 時刻は午前6時23分。


 普段、あたしが起きる時間よりも、1時間は早い。


 苛立ちを抑えられないまま携帯電話を開くと、レンの名前が表示されていた。


 確かにレンと血の契約をした時に、住所や携帯電話の番号とメールアドレスを教えたけど、あたしと同様にかけてきた事はない。


 そう思って、はっとする。


 昨日の夜、あたしはレンに電話した。途中で切ったけど、呼び出し音が鳴っていたから着信履歴は残ったはず。


 それについて、追及されるんだろうか?


 あたしは、緊張しながら電話に出た。



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