月の絆~最初で最後の運命のあなた~
第六章 本当の自分
[一]
全身に感じる切り傷のような痛みに、あたしは目を開けた。
自分が、いつ寝に入ったのか思い出せないけど、どうやら眠っていたらしい。
ただ、おかしな事に体の下や顔の下にあるのは、すべすべなシーツやふかふかの枕ではなく、ちくちくする草だった。
周りは真っ暗で、小動物の動く音とフクロウの鳴き声がする。
普通なら、不安と恐怖を感じるはずなのに、なぜかあたしは安心感を覚えていた。
それどころか、安らぐほどの懐かしさで心が満たされている。
たとえ、どんなに変な状況だったとしても。