月の絆~最初で最後の運命のあなた~



 あたしは、暗闇に目を凝らした。


 見えたのは、六つの光。


 小さくて、懐中電灯って感じはしない。


「えっ?」


 じっと見ていると光は消え、また点いた。


 違和感と急速に高まる警戒心に固まっていると、また枝と落ち葉を踏む音が聞こえてくる。


 相手が何であれ、前に進んで近づいている事は分かる。


 耳を澄ますと、小さいが獣の唸り声が聞こえてきた。


 野犬!


 徐々に大きくなる音と、命の危険を覚える恐怖に、あたしは固く目を閉じた。


 襲ってくる相手の姿も、襲われる瞬間も見たくない。


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