月の絆~最初で最後の運命のあなた~





「マリア?」


 予想外の声に、あたしの頭の中は真っ白になった。


 落ち葉の上を速足で歩く音がして、目を開けようとしたと同時に、肩を掴まれた。


「ちょっと! どうしたの、これ」


「えっ? あ、絢華さん?」


 ランタンを手に、目の前に立っていたのは、いつも行くステーキハウス〈バイソン〉のウェイトレスをしている彼女だった。


「わたしのことは、どうでもいいから手当てしなくちゃ。響夜!」


 絢華さんは、ランタンを掲げると森に叫んだ。


 










 
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