月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「やあ、今日の君はいつもに増してセクシーだね」
「ちょっと、やめてよ。そんな風に、思ってもいないくせに」
助手席のドアを開けて待っているレンは、吸血鬼にまつわる伝説が嘘であるのを証明するように、太陽の下で微笑んでいる。
あたしは、躊躇うことなく車に乗り込んだ。
すると、紳士的に優しくドアを閉めてくれたレンは、住宅街を考慮して人間らしい速さで運転席に戻ってきた。
レンが隣にいると、とつぜん自分の格好が気になってくる。レンはスーツにも似た服装なのに、あたしはラフすぎて恥ずかしくなってくる。
そんな恥ずかしい気分を誤魔化したくて、1ヶ月も経つのにいまさらな質問をすることにした。