月の絆~最初で最後の運命のあなた~




 真上にいたのは、見たこともない男だ。


 強く吹く風も、彼女の体重も気にしていない男は、にっこりと微笑んでいる。


 明らかに、自分の魅力に気づいている傲慢とも言える自信に満ちた空気に、彼女は自分が飛び降りた状態のままであることすら忘れていた。


 風になびく焦げ茶色の髪に、青くユーモアさを感じさせる瞳。


 すっきりとした鼻筋と、セクシーな唇。


 天使のような巻き毛をしているが、今の状況を考えると悪魔か堕天使と言ったところだろう。


 真剣に考え込んでいると、頭上から笑い声が聞こえてきた。





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