月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「そうね……十字架とニンニクとか?」
「ああ、よく言うね。十字架は頻繁にネックレスとかで身に付けるよ。ニンニクに関しては、嗅覚が鋭い僕らには強烈な匂いってだけかな。考えてもみなよ。世界にどれだけのニンニクを使ったレストランがあると思う? 匂いが漂ってくるたびに、外で苦しんでのたうち回る奴がいたら、存在はもっと前に知られてたよ」
「コウモリには?」
「なれたらいいね。霧にもなれたら、もっと暮らしやすかったかも」
信号で車を停めると、レンは足元の袋からペットボトルを取り出し、キャップを開けてからあたしに差し出した。
さらに、サンドイッチまで袋から出てきて驚きだ。
なにも食べず、なにも飲まずに家を出てきたから、ありがたかった。
「ありがとう。質問、続けるね。杭を打たれたら死ぬの?」
「逆に聞くけど……杭を打たれて、死なない奴がいるのかい?」
あたしは、首を横に振った。口にはサンドイッチが入っていたから。
レンの言う事はその通りだと思う。
人間だって、心臓に杭を打たれたら死ぬはず。