月の絆~最初で最後の運命のあなた~



「俺たちは、群れの仲間の為なら何でも出来る」


 だからといって、はいそうですかと、狼呀は引き下がれない。


 二度と離さないと心に決めた。


 狼呀は、かぎ爪をあらわにした。


 言って理解されないならのなら、もう話す必要はない。こうなったら、相手を傷つけないようになどと言っていられない。


 狼呀は、マリアのところに行くために、一歩を踏み出した。


「やめて!」


 マリアの悲痛な叫び声が、全員の注意を引いた。


 無事である姿に安堵して、飛び出た爪も引っ込んだ。


 駆け寄って抱き締めて、もっと無事を確かめたいと心が叫ぶが、その前に冬呀がマリアを引き止めた。




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