月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「お願いだから、戦わないで」
「分かった。分かったから、下がっていてくれ」
「狼呀は危険じゃない。あたしが、自分で話す」
「だめだ。あいつは、無理にでも君を連れて行く気だぞ」
冬呀は、慰めるようにマリアの頬を指の関節部分で優しく撫でた。
今すぐ、あの腕を引きちぎってしまいたい。
狼呀の意識は、危険なまでに人狼に近づいている。
全員がマリアと冬呀を見ていたが、骨が折れるような音が聞こえはじめて、注意はそちらに移った。