月の絆~最初で最後の運命のあなた~
何も言わずに手を引いて、上へと行くためのエレベーターに乗る。
扉が閉まる直前、彼は不安そうにあたしから離れて外に出ようとしたけど、あたしは手を放さなかった。
「マリア? 俺は地下に」
「黙って」
大胆な事をしてるという自覚はあった。でも、困惑する狼呀に向き直って、Tシャツの首もとを少し引っ張りながらつま先立ちでキスをする。
勇気を出して言って、もし拒絶されたらと思うと、どうしても言葉にするのは恥ずかしい。
「これで分かった?」
狼呀は驚いて固まっている。
でも、瞳の奥には深い欲求が現れた。
だから、今度は両腕を彼の首に回して、もっと深くキスをした。
固く結ばれた唇に舌を這わせて、望みを伝える。
彼は体を震わせた。
甘い吐息をもらして口を開くと、あたしの舌を迎え入れて、貪るようなキスを返してくれる。
あたしは、どうしたらいいんだろう?
一気に体温が上がり、二人で夢中になって舌を絡めた。
荒い呼吸と唸り声。
エレベーターが到着を告げると、キスしたままで狼呀があたしの膝の裏を掴んで腰に引っかけるように促す。
彼の意図を感じ取って、あたしは片足で飛び上がって同じように腰に引っかけた。