月の絆~最初で最後の運命のあなた~



 まるで、壊れ物でも扱うように、背中に滑らせた手が、ブラのホックを器用に片手で外した。


 生まれてはじめての体験に、顔が熱い。


 火を吹きそうなくらい恥ずかしい。


 あたしは、スタイルがいい訳じゃないから、筋肉のついた綺麗な狼呀に見られていて落ち着かない。


「恥ずかしいから、見ないで」


 泣きそうだった。


 幻滅されたら、どうしよう。


 がっかりされたら、どうしよう。


 そんな事ばかり頭に浮かぶ。


「一回、体を起こすぞ」


 少し腕を引っ張られ、体を起こすとパーカーとブラを取り外される。


 これで、上半身を隠す物はない。


 見られるのが恥ずかしくて、両手で胸を隠そうとしたけど、すぐに両手は頭の横に固定されてしまう。


「綺麗だ、マリア」


 慰めるためのお世辞だと思った。


 彼の目を見るまでは。


「そんな目で……見ないで」


 まるで彼の視線は、宝物でも見るみたいに輝いている。


「俺がどう思うか不安になるな。俺の気持ちを疑うな」


 優しいキスと共に、狼呀の手があたしの胸を包み込んだ。




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