月の絆~最初で最後の運命のあなた~


 甘い喘ぎを上げ、マリアが両腕を首に回してしがみついてきたところで、狼呀は一気に自身を押し込んだ。


 痛みで悲鳴を上げたが、狼呀がキスで塞いで口の中に受け止めた。


 痛みが過ぎるまで腰を動かさず、乳房を愛撫しながら深くキスを続けて慰める。


 マリアの目尻からは涙がこぼれ、首から離れた手が狼呀の肩に爪を立てた。


 どれくらいの時間、熱く絡み付くマリアの中で動かずにいただろう。無いにも等しい理性をどうにかかき集めるのは、二十六年間の人生で一番難しいことだった。


 おそらく、伴侶への愛と気遣いが可能にした奇跡だ。


 時間の感覚なんてものは、狼呀の中からは消えていた。


 ようやく少しづつ力の抜けてきて、腰を軽く引く。


「もう……平気か?」


 マリアは、甘いキャラメルを思わせる瞳を潤ませながら頷いた。出生の秘密を知った今は、この瞳の色と人狼に作用するフェロモンの不思議も理解できる。


 




< 332 / 356 >

この作品をシェア

pagetop