月の絆~最初で最後の運命のあなた~
[二]
心地よいダルさに目を開けずにもう一眠りしようとすると、くすぐったい感触が肩に触れた。
腕をするりと撫でられ、そのまま腰の辺りまで撫でられると、官能的な本能に再び火がついた。
「起きてるんだろ、マリア」
甘さを混ぜた声で囁かれて、あたしは目を開けた。
目の前には裸の胸があって、少し顔を上げると、頬杖をついて見つめてくる狼呀がいる。
満ち足りた顔を見ていると、一気に昨日の記憶がよみがえる。
「あっ!」
恥ずかしさが込み上げてきて、上掛けの下に逃げ込もうと思ったけど、狼呀の様子にやっぱりやめた。
無理矢理じゃないし、恥じる行為でもない。
ただ、幸せと喜びがあっただけだ。
「動けるか?」
「ええ、たぶん。あの……」
「ん?」
狼呀も満足できたのか。
そんなことを口走りそうになって、慌てて口を閉じた。
代わりに、手のひらを狼呀の筋肉質で引き締まった胸から割れたお腹まで撫で下ろす。
「マリア」
低くて、唸るような声は、警告を含んでいた。