月の絆~最初で最後の運命のあなた~
じっとベットに横になっていると、シャワーが勢いよく流れる音が聞こえてきた。
きっと、少し時間がかかるだろうから、もう一眠りしよう。
彼が出たら、あたしもシャワーを浴びたいけど、まだ体に力が入らなくて動ける気がしない。
足の間には心地よい違和感があるし、腰の筋肉はこれまで使ったことがないみたいに筋肉痛になっている。
目を閉じて、近づいてくる睡魔に身を任せようとすると――体が抱き上げられた。
「ちょっと! 何してるのよ!!」
「ん? シャワーの水が温まったからな。たぶん、自分じゃ歩けないだろ?」
そういう問題じゃない。
狼呀はまったく恥ずかしがっていないけど、あたしはまだ恥ずかしい。というか、一生恥ずかしいに決まってる。
抱き上げられた時に上掛けは体を滑り落ちて、あたしの体を隠すものはない。
どうにか両手で胸を、太ももはきつく閉じた。
たったの数歩先にある浴室が、やけに遠く感じる。