月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「じ、自分でできるから」
「まだ無理だろ。それに、俺が洗ってやりたい。昔からの夢なんだ」
「夢?」
「ああ。伴侶の髪を洗い、体を洗い……タオルで拭いて、髪を乾かしてやるのがな」
そう言われてしまうと、強く拒絶することができない。
ゆっくりとシャワーの下に下ろされると、足にあまり力が入らなくてよろめいた。
でも、狼呀が両手で腰を支えてくれたから、どうにか倒れずにすんだ。
バランスを取りたくて両手を狼呀の胸に置くと、お湯より熱い体温と心臓の鼓動が伝わってきた。
思わず唇を寄せて、彼の胸に口づける。
腹筋に力が入って、狼呀は鋭く息を吸った。
それでも何も言わず、シャンプーを手に取りあたしの髪を洗い始めた。
頭皮をマッサージするように揉まれて、あまりの気持ちよさに頭をのけ反らして彼の胸に爪を立てる。
すると、狼呀はさらす形になった喉に口づけてきた。
なんだか、優位に立たれた気がする。