月の絆~最初で最後の運命のあなた~
新しく取り出したタオルをマリアの体に巻き付け、自分の腰にも巻き付けると手を引いてベットへと連れていく。言葉が、狼呀の頭の中をぐるぐると回り、酷い気分だ。
ドライヤーを手に振り返るのに、しばらく時間が必要なほどに。
「髪を乾かすから……座ってくれ」
マリアは黙ってベットの端に座ると、胸元のタオルを掴んだ。
「あなたの傍に居られれば……とは思ってる。でもね? やっと、本当の自分と居場所を見つけたの」
(やめてくれ!)
そんな話は聞きたくない。肩を掴んで揺さぶってやりたかった。
伴侶の絆以上に、何が大切なんだと……。
代わりに、マリアの正面から髪を乾かし始めた。まさか、髪を乾かしながら別れ話を聞かなければいけないなんて、昔の自分は考えもしなかっただろう。
それも、最高に幸せなセックスをした後に。
震える手で優しく髪を梳かしながら、思わず外国語の悪態が口から飛び出した。
「本当に……ごめんなさい」
涙を浮かべはじめたマリアに、たまらずキスをした。もう優しくは出来ない。
シャワーを浴びたばかりだというのに、狼呀はマリアを押し倒すと、タオルを剥ぎ取った。
乳房をやわやわと揉み上げながら、刻み付けるみたいに首筋を強く吸うと、マリアは背中を矢なりに反らした。
「狼呀……愛してる」
「傍にいる気がないのに、そんなことを言わないでくれ」
狼呀は、一気に自身で貫いた。
根元まで一気に呑み込んだマリアの中は、まるでぴったりとした手袋のように、狼呀を包み込んだ。
「くそっ!」
首に腕を回して、狼呀の肩に顔を埋めるマリアは、昨日とは違う官能的な喘ぎ声を上げている。
もう少し中の感触を味わっていたかったが、マリアが艶かしく腰を揺らしはじめたせいで、自然と腰が動きはじめた。
(ああ、一生……マリアとのセックスに飽きることはなかっただろうな)
狼呀は、自分の胸に擦れる先端の固くなったマリアの胸の感触に酔いながら、そんなことを思った。