月の絆~最初で最後の運命のあなた~


 背中の傷に負担が少なくてすむように片手を背中に回して、片手はしっかりといい位置に固定する。


 何度も突き上げているうちに、マリアは腰を回しはじめた。


「狼呀……狼呀……」


 耳元で、息を乱しながら呼ばれる名前に抽挿する動きを激しくした。情熱的に愛したいのに、胸の奥にあるのは消えない絶望感と葛藤だ。

 
 伴侶の願いは、なんでも叶えてやりたい。それが、どれだけ自分には痛みになることだとしても。


 ただの人間が、狼呀は羨ましくなってくる。自分勝手に愛せたら、どれだけ幸せなことか。


 この時間が永遠に続けばいいと願いながらも、押し寄せる絶頂の波には逆らえなかった。






 
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