月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「あなたって、いくつなの?」
「それは……また今度のお楽しみってね。さあ、こっちだよ」
レンに手を取られて、壁も天井も床も真っ白な廊下を歩いていく。
彼の肩越しに廊下の奥を見ると、この世の者とは思えない絶世の美女が立っていた。
絶対に、あたしが着てるみたいなTシャツなんて、死んでも着ませんって感じだ。
レン以外の吸血鬼に会ったことはないけど、彼に微笑む女は間違いなく吸血鬼だ。
「やあ、ヴィヴィアン。僕の部屋はどこだい?」
「ここよ。やだ、レンったらおやつを持ってきたの? すごく美味しそうね」
下着が見えるんじゃないかって思うほど、裾の短いぴったりとしたドレスを着た女――ヴィヴィアンは、真っ赤に塗られた唇を舐めた。
あれなら、血を吸っても目立たない。近づいた瞬間、そんな事を思った。
目は貪欲に輝き、あたしを餌以外の対象としては見ていないのがはっきりとしてる。
ふと、レンは以前にも誰かを連れてきたことがあるのかと気になった。