月の絆~最初で最後の運命のあなた~



 こんな幸せなクリスマスと誕生日があっただろうか。最近は、辛いことが多すぎてどちらも祝っていなかった。


「おいおい、泣くのはまだ早いぞ」


 冬呀の言葉に、少し戸惑っていると、チャイムが鳴った。


 その音に、手紙を読む間は離れていたファングか、あたしの横で唸り声をあげた。


「俺からのプレゼントだ。今日はめでたいからな」


 背中を押され、扉に近づく。


 後ろでは、冬呀がファングを下がらせた。


 配達の人に泣き顔を見られたくなくて深呼吸してから涙を拭き、扉に手を伸ばした瞬間――その匂いに気づいた。


「冬呀?」


 声が震えた。


 後ろを振り返ると、彼は微笑みを浮かべて頷く。


 ノブを掴んだ手が、緊張で震えた。


 これは、夢なのかもしれない。


 あんな酷い仕打ちをしたあたしに、こんな幸運が訪れる訳がない。


 何度も深呼吸をして、思い違いをしていた場合のショックが小さくて済むようにする。


 期待してもいいのだろうか。


 許してくれるだろうか。


 あたしは扉を開けた。




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