月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「ルール?」
「ああ。たとえば、ベータとガンマ又は人狼の仲間を連れてこないとか、ここにいる間は俺の指示にしたがう……とかだ」
「狼呀は……そのルールに承諾したの?」
「もちろん。俺は人狼のアルファだぞ? お守りは必要ない」
信じられない思いだった。人狼と狼シフターのアルファとアルファ。反発しあうだけだと思っていた。
「そいつが行儀よくしている限りは、俺に文句はないさ。大事なのはマリアの気持ちであって、俺の感情は関係ない。月城……お前の感情もな」
冬呀は、あたしの腰を抱く狼呀にぴたりと視線を合わせた。彼の保護本能があたしを包み込んだ。
「冬呀、ありがとう。なんて言ったらいいのか……」
あたしは狼呀から離れると、冬呀の腰に両手を回して抱きついた。すぐに、冬呀も抱き締め返してくれる。
「何も言わなくてもいい。当然のことをしただけだからな。さあ、この話はこれくらいにして、パーティーを始めよう」
最後にぎゅっと力強く抱き締めてから、冬呀は離れていった。