月の絆~最初で最後の運命のあなた~
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「マリア!」
耳のすぐそばで怒鳴られて、あたしはようやく目を覚ました。
いつの間にか、暇潰しに聞いていたはずの音楽が聞こえないと思ったら、ヘッドホンが取り上げられている。
「なんですか? そんな耳のすぐそばで怒鳴らなくてもいいでしょ」
「わたしが優しく何回、声をかけたと思う? 五回よ。呼んでる」
体の線にぴったりとくっついたナース服を着た看護婦は、腰を左右に振りながら去っていった。
その様子から、あたしは誰が入ってきたのかに気づいた。