月の絆~最初で最後の運命のあなた~



 兄がいるから分かる。


 機嫌のいい兄はよく喋り、うるさくて鬱陶しいくらいだった。


 なのに、無口になり静かな時には、怒っていたり機嫌の悪い時だったりする。


 狼呀を分析していると、エレベーターが止まり焼けたゴムの匂いが漂ってきた。


 ――駐車場!?


「やだっ、下ろして!」


 レンが来てくれない事に、悲しさが沸いてきた。


 誰の助けも期待できない。


 そこまで考えて思わず、はっとした。


 いつから誰かに期待するようになったんだろう。


 今まであたしは、誰にも期待したことはない。いつだって、自分でどうにかするしかないのだ。


 あたしは渾身の力を込めて、髪の毛を引っ張ろうと少し体を起こしたところで、勢い良く車の後部座席に下ろされた。





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