月の絆~最初で最後の運命のあなた~
気分を害して、話題を変えるだろうという考えは甘かったのか、狼呀の目の真剣さは変わらない。
「クソ忌々しい寄生虫に咬まれて、血を吸われる事を喜び望む連中のことだ」
「ちょっと、人の事を寄生虫呼ばわりは酷いんじゃない!」
「あいつらは人ですらない」
あたしは『寄生虫』という言葉に頭にきて、肯定と取れる反応を示してしまった。
その結果、狼呀の怒りに油を注いだ。
こんな時は、短気な自分の短所が恨めしい。
もう、口を閉じることが出来ない。
「あんた、何様よ! レンの事をなにも知らないくせに」
「なら、マリア……君はあの男の全てを知っているって言えるか? さっきのあいつが、君に何をしようとしていたかも」
「さっきって何よ。ただ血を吸うだけでしょ! あんたが止めたせいで、干上がってたら責任とれるの? どいて。あたしはレンのところに戻るから」
あたしはドアのノブを引いたけど、いつの間にかロックを掛けられていて開かない。
「さっさと開けなさいよ!」
胸を拳で叩いても、びくともしないで逆に手首を掴まれた。
「自分のジーンズを見てみろ」
「なによ、変態……」
そう言いながらもジーンズに視線を落として、あたしは絶句した。