月の絆~最初で最後の運命のあなた~



 ボタンは外れ、ファスナーは半分下ろされて下着が少し見えている。


 ジーンズを下ろそうとした記憶はない。


「分かったか? 最初に吸われ、マリアもあいつもトランス状態に陥った。一歩間違えは、あのまま体を重ねて、殺されていたかもしれないんだぞ!」


「だっ、だったら何? あんたには関係ない」


「いいや、関係ある。俺はマリアの」


「あたしの何よ!」


「俺は……」


 狼呀はそれでも渋っている。


「自分のことも話せない奴の言う事を、信じろっていうの? それなら、あたしを必要としてくれるレンを信用する」


 あたしは、さっきよりも力を込めて狼呀を押した。


 彼の体が少し離れて、ほっとしたのも束の間、あたしの腕が引っ張られる。


 一瞬、何が起こったのか分からなかった。





 
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