月の絆~最初で最後の運命のあなた~
狼呀の顔が目の前にあり、熱い視線があたしの心を溶かす。
最初は遠慮がちに啄むようなキスだったのに、文句を言おうと口を開くと変わった。
「ちょっと……んっ」
髪の中に手が滑り込んできて、逃げられないように頭の後ろを掴んでいるけど、痛みはない。
それどころか、頭皮を揉みほぐすように動かされて安堵感を覚えた。
訳が分からない。
名前を知ったのは今日。
抱いた感情は、特になかった。
なのに、こうして触れられていると――。
唇は深く重なり、狼呀の舌が歯列をなぞる。
まるで、無反応なあたしを怒るみたいに、何度も何度も――。