月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「ほら、ここにあるぞ」
薄目を開けてみると、目の前で携帯電話が揺れていた。
「あ、ありがと……ん?」
何気なく受け取り、あたしは一気に血の気が引く思いがした。
携帯電話からは、まるで現実を突き付けるようにうるさい音が流れている。
「どうした? 出ないのか?」
――やっばり、夢じゃない!
優しく、恐いくらい甘い声。
冷静に考えてみると、背中に熱い熱も感じる。
あたしは、おそるおそる後ろを振り返り――。