クリスマスケーキは売れ残るか!?
そんなある日、
残業で遅くなった日。
終電に乗って家に帰ると、隣の家の前に車が止まっているのが見えた。
・・・あれは、
車から降りて運転席の男にペコペコ頭を下げている。
車が走り去るまで見送っていた幼馴染み、奈々の後ろから声をかけた。
「なに、あの男?」
「きゃっ、・・・なんだぁ、ハルかぁ。驚かせないでよ。」
「・・・誰?」
「え?ああ、会社の後輩。残業してたら終電逃しちゃって、」
「それで?」
不機嫌に言えば、首を傾げて奈々が俺を見上げた。
「・・・えっと、同じ方向だから送ってくれた。」
「ふーん。」
「ハル?」
名前を呼ばれたけど聞こえない振りで俺は自分の家に入る。
ドアを閉めて、深呼吸した。
奈々の俺に対する気持ちは知っていた。
だから安心していた。
いつまでもこの関係は変わらないと、
けど・・・
俺以外に向けられた笑顔
俺の止まり木を取られてなるものか!
自分の部屋から隣の部屋を見る。
カーテンから灯りがもれていた。
「アイツの隣にいるのは、俺だ。」
そう呟いて、俺は夜な夜な作戦を練るのだった。
END