クリスマスケーキは売れ残るか!?

約束の時間に、約束の場所に行くとハルはもう来ていた。



「ハル!」

「おお、おつかれ!」



手を振るハルのそばに駆け寄る。



「ごめんね、待った?」

「ん?いや、そんなに待ってないよ。行こうか。」



くしゃと私の頭をなでてから、歩き出すハルに黙って着いていく。

どこに行くのか聞きたかったけど、クリスマスイブじゃなくてもクリスマス。
洒落た店は今夜も予約で一杯だろう。
ファミレスとか、居酒屋さんなら開いているかなぁ?

頭の中は居酒屋メニューになっていた。


・・・のに、



「え?ここ?」

「そう、ここ?」



あんぐりと口を開けて、目の前に立つホテルを見上げる。
確か夜景の見えるレストラン、イタリアン?
とにかく雑誌に載るほどの有名なお店だ。



「行くよ。」

「え?あ、待って。」



躊躇なくホテルの中に入って行くハルを追った。
さっきから背中ばかり見ているな、と思ったら急にハルが振り返った。



「クスクス。走るなよ、ホテルだぞ。」



そう言って手を差し出してくれる。
え?って顔して迷っていたら、きゅっと手を握られた。

ぽかんとハルを見上げると、またクスクスと笑う。



「アホ面だ。」



と、暴言を吐いた。



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