クリスマスケーキは売れ残るか!?
綺麗な夜景を見ながら、ワインを傾ける?
そんな芸当出来る訳ない!
もっとお洒落な格好してくれば良かった、とか
もっとテーブルマナー勉強すれば良かった、とか
・・・せめて髪型くらい変えれば良かった
いつもの髪型に、いつもの地味スーツ
あきらかに浮いている。
そわそわと落ち着かない私にハルが苦笑いした。
「奈々。」
「あ、はい。」
「プッ、なんで敬語、」
「・・・だ、だって、」
「大丈夫だって、ホテルの中だけど、こっちは普通のレストランだから、」
「え?こっち。」
首を傾げた私にハルが天井を指さした。
「そう。雑誌に載っているのは、最上階にあるレストランだよ。三つ星シェフ監修のイタリアン。」
「あ、そうなんだ。」
あからさまにホッと息を吐くと、またクスクスと笑われた。
「そうだなぁ。夏のボーナスもらったら行ってみる?」
「は?」
「ランチくらいなら大丈夫だろ?」
いやいや、何が大丈夫なのかさっぱりわかりませんよ。
フルフルと首を横に振って否定の意味を示せば、何が面白いのかハルがまたクスクスと笑い出す。
「そういう所、昔から変わってないよな。」
「え?」
聞き返そうと思ったら料理が運ばれてきて、私達の会話は一時中断となった。