女神の災難な休日


 ・・・・・あああ・・・この匂いは。

 いやーん、しちゃったのね。今このタイミングで・・・まあ、大人の都合なんて知ったこっちゃないのでしょうけどさ。それに、お昼ご飯も食べた後だから当然といえば当然のことで。

 若干ガックリしながら、寝たままの雅坊をベビーシートから取り上げて後部座席に寝かせる。丁度車も停めてるし、ついでにオムツも替えてしまおう。そう考えたら起きているときよりオムツ替えは簡単なはずだしね。

 とりあえず寒いからと自分の体も後ろの座席に詰め込んで、ドアを閉める。エンジンをかけて暖房をつけたままで、後ろの座席に寝かせた息子のオムツを替えようとしていたのだ。

 だから、私の周りには新しいオムツやマザーバックやそこから出したお尻拭きやビニール袋などが散らばっていて、前はちっとも見てなかった。

 それに勿論、ちょっと停めた地味~なコンビニの駐車場でこんなことが起こるだなんて予想してない。

 だけど、世の中は予想だにしないことが結構頻繁に起こるのだって、今までの自分の体験を元にしていたら判ったはずだったのだ。

 だけどだけど、まさかでしょ。



 いきなりバタン!と開いた運転席。

 音に驚いて屈み込んでいた顔を上げた私の目にうつったのは、そこに転がり込んできた一人の男。

 え?とか、は?とか、言ってる暇はなかった。

 何故か知らないがいきなり我が家の車に飛び込んできたその男(推定、だけどさ。もしかしたら女かも)は、ぐいーんとアクセルを踏み込んだ。

 当然、車は急発進する。

「うひゃあああっ!?」


< 13 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop