女神の災難な休日
そうだ、とりあえずオムツ替えを完了しないと!下半身丸出しでは赤ん坊が風邪を引いてしまう。
「ああ、ごめんね~、起きちゃったよねえ。そりゃこんな下手な運転じゃあねえ、よしよし」
私の怒鳴り声で起きたのかも、とは思ったのだ。だけど、かなり驚いたし腹が立っていたので、色んなところに嫌味をこめることにした。雅坊のお尻を拭き、新しいオムツを履かせてズボンを引き上げていると、運転席のバカ野郎は混乱した声で喚いた。
「え!?え?オムツ?赤ちゃんまで!?」
畜生、バカ男!車内に蔓延するこの匂いに気がつかないわけ?使用済みオムツを頭に被せてやろうか。一瞬本気で実行しそうになったけど、そうなるとただ今命を預けている状態な私達も危ないと気付き、やらなかった。舌打をしながら揺れる車内の中で何とかオムツをビニール袋に入れて、とりあえず起きてしまった雅坊を後部座席で抱っこする。
「ぶぎゃああああ~っ!!」
「はいはーい、よしよし。何だかよく判らないけど大丈夫よ多分。泣かない泣かない~」
母親に抱っこされていると気付いたらしい息子は、とりあえずは絶叫を止めてくれた。しゃくりあげながら呆然と寝起きの顔で周りを見回している。
ああ、ヤレヤレ。私も周囲を見回した。
車は結構なスピードで国道を走っている。・・・・ちょっとー・・・どこ連れてくのよ、私達を。
私はむすっとしたままで、足を伸ばして運転席の男を後から蹴っ飛ばした。