女神の災難な休日
20代も後半になれば、毎日はするすると音もなく過ぎていき、1年の時間が高校生の頃の3分の1くらいに感じられたものだったけど、それは結婚して出産すると更に加速したような気がする。
もう、びゅーんびゅんと過ぎていくのだ。毎日朝起きて、子供の準備をして保育園に連れて行き、職場までダッシュして着替えてから売り場に立ち、仕事の話や噂話、販売をして夕方までを過ごし、それからまた着替えて保育園までダッシュする。
はーい、桑谷さんセーフでーす、などと先生に言われながら肩で息をして息子を迎えに行き、手を引いてゆっくりと家に帰る。ご飯の支度、お風呂の準備をして母子二人で夜を過ごす。子供が寝てから夫が帰ってきて、という平凡な、いたって普通な毎日は、いつでも一生懸命だけれどもいつも同じなので、スピードがとても速いように感じていた。
あれ?もう11月もう後半?って思ったのだった。
それが、その、晩ご飯の後に年末のことについて夫と話した時なのだ。
それからまたどどーっと同じような日々は駆け足で過ぎていって、次に気がついた時にはクリスマスが終わっていた。
来年の1月には2歳になる雅洋を囲んでクリスマス会なるものを家族でしたのは実はクリスマスが終わって2日経った27日の事だった。だって、繁忙期だったのだもの!!
この時期の百貨店という外見華やかな職場は、文字通りに戦場と変わる。一足バックヤードに入れば大量の納品物と走り回る販売員、それと出入りの業者。積み上げられていく配送物に間違いがないようにと目を血走らせている担当者。この時期だけは喫煙者も増え、バックヤードの自動販売機ではずらりと並んだ缶コーヒーが売り切れになる。
メーカーですら、それなのだ。それを統括している百貨店側の社員の忙しさといったらないに違いない。