女神の災難な休日


 まだ台所に立ってお皿を洗っていた私を背後から抱きしめて、好き勝手に触りまくったのだ。

「こら、ちょっと!まだ片付けが終わってないわよ」

 って、勿論、私はブーイングを盛大にした。だけど彼には力では敵わないし、あっさりと服の中に侵入されてブラを外されたときには、私の呼吸も既に上がってしまっていたのだ。

「声、出しちゃダメだろう。雅が起きると止めなきゃなんない」

 そう言いながら、声が出るようにわざわざ煽っているのが判る指使いで私を攻撃する。

 炊事の手袋を外してから、私は彼の腕の中でくるりと回転した。そして彼の後頭部に手を回し、自分から唇を押し付けて深いキスをし始める。だってやられるばかりなんて嫌なんですもの。欲しいものは、いつでもハッキリしている。そして今欲しいものは彼の唇なのだ。

 ああ、そうそう・・・私、これ、好きだったんだ、そう思いながら、無遠慮に好き勝手なキスをしまくった。

 ククク・・・と彼が小さく笑う。台所で立ったままで、するすると私の服を脱がせながら、言った。

「働きすぎてボロボロの人形みたいだったよな。・・・久々に・・・人間に、戻ろうぜ」

「人間ていうより・・・・動物まで戻るって、感じ、ね・・・」

 上がる呼吸の合間にこたえると、彼はふっと顔を離して私を見た。その黒い瞳の中には勢いを増した欲望の光。それが悪戯っ子のようにキラキラと揺らめいている。

「動物?・・・俺がそこまで戻ったら、こんな優しくなんて出来ねーぞ」

 首筋に噛み付いて、彼がガッチリした腕で私を閉じ込める。



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