『キミと一緒に』
「え、なになに?翔ちゃん知り合い?いつの間にこんな可愛い子を!」
「・・・キミ、桜ちゃんだ」
そう言って、彼は席を立って私に近づいてきた
私は、また逢えたことに、そして私を覚えていてくれたことに、なぜかすごく嬉しくて。
「入学式の日、逢ったんだよな?」
「・・・はいっ」
また、柔らかい笑顔で話す彼は本当にかっこよくて、すでに顔が熱い
「へぇ、キミ、桜ちゃんっていうの?名前も可愛い!」
「えっ!?」
そういえば───
危うく、自分の名前を忘れるところだった
なぜ『桜ちゃん』と呼ばれるかはわからないけど、
私は桜という名前ではない
「わ、私、浅井ミカです・・・!」
「・・・・・・?ミカ、ちゃん?桜ちゃんじゃないの?翔ちゃん、お前名前違うじゃんかよ」
「本名知らなかったもん。ミカちゃん、ね、よろしく。俺、岩城翔。2年なんだ」
初めて逢ったときから感じていた、大人っぽい風格───
高校2年にしては大人びているが、先輩であることには納得ができた